読書の輪「おすすめ本」紹介 No.063

2010年11月7日

読書の輪「おすすめ本」紹介

  あなたの『おすすめ本』を募集します。
帝塚山学院中学校高等学校図書館にある本で、あなたのお友だち・先輩・後輩たちに、 自分が読んで感動した本、みんなに是非読んでもらいたい本を紹介してみませんか?

おすすめ本の投稿は下記のサイトから受け付けています。
http://www.tezukayama.ac.jp/jhlib/dokushonowaboshu.html

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推薦者 (所属) 書名 著者 出版社 【請求記号】 紹介記事
NA (教職員)
  小さな理由(双葉社)
小さな理由 / 森浩美著 -- 東京 : 双葉社, 2010.3   請求記号【913.6 モリ 】 作者は、SMAPの作詞など多く手がけている人ですが、小説では身近かな家族を題材にした短編小説が多く、読みやすいです。皆さんの家族、それぞれにも物語があると思いますが、作品では、日常暮らしていて、見落していた些細な出来事に共感できます。「夜の鯉のぼり」「黒たまご」がおススメです。
NI (中学生)
  ブギーポップは笑わない(メディアワークス)
ブギーポップは笑わない / 上遠野浩平 著 -- メディアワークス 1998    請求記号【913.6 カト 文庫 】 『電撃文庫』の道を切り開いた1作品。女子生徒だけに広がっている死神の噂があり、その死神はその人がもっとも美しい時、それ以上醜くならないように殺してくれるというのです。――これは一つの奇怪な事件と、五つの奇妙な物語。――
YA (教職員)


  
ブラームスの「実像」 回想録、交遊録、探訪記にみる作曲家の素顔 / 日本ブラームス協会 編 -- 音楽之友社 1997   請求記号【762.34 ニホ 】 その装丁から勝手にイメージし、ブラームスに係る逸話集かと思いきや、実は学術性豊かで硬派な一冊だった。さて先日、クラシック愛好家の友人にかねてから勧められていた、ブラームスの「交響曲第一番」を、初めてじっくりと聴く機会があった。『N響アワー』でTV放映された、サントリーホールでの、ネヴィル・マリナー指揮、NHK交響楽団による九月の定期演奏会だ。名状し難い苦悩と不安に満ちた第一楽章から始まり、第四楽章では、暗い空から次第に明るい日射しが垣間見られるような響きの中、ベートーベンの「第九」を彷彿とさせる主題も加わる。いつしか圧倒的な高揚感に包み込まれ、私の心は根底から激しく揺さ振られ陶然としていた。"ブラボー"の声を聞きつつ、鳴呼、名曲だと思った。
YA (教職員)

  人間は進歩してきたのか(PHP研究所)
人間は進歩してきたのか : 「西欧近代」再考 / 佐伯啓思著 -- 東京 : PHP研究所, 2003.10   請求記号【304 サエ 1 新書 】 本書は『現代文明総論』として、京都大学で講義された授業内容を元にして生まれた。「西欧の近代主義」の成果を享受している私達の豊かな文明社会。が一方では「複雑に入り組んだ数々の問題点」も露呈し、まさしくグローバルな規模で蔓延している。そんな今日的状況が抱える「危うさと混沌」の要因を探るべく、その生みの親である「西欧の近代の本質」を様々な角度から考察し、相対化しようとする作業を試みる。本書全般に流れている、その偏向を排除しようとしている感覚、すなわちバランスのとれた感覚で対象を捉えていこうとする著者の視座に共感を覚えると同時に、氏の精神の健全さのようなものを感じた。読後、氏の講義を是非拝聴してみたい、そんな思いにさせてくれた一冊。
KO (教職員)

  あんじゅう(中央公論新社)
あんじゅう : 三島屋変調百物語事続 / 宮部みゆき著 -- 東京 : 中央公論新社, 2010.7   請求記号【913.6 ミヤ 】 悲しい過去をもつ娘おちかのもとで語られる百物語の形をとっていますが、決して怪談ではなく、どの話も示唆に富んでおり、味わい深いものばかりです。必要とされない悲しみ、必要とされる喜びを教えてくれる第一話、双子の妹を見守る幽霊の姉が示す、人を想う優しさに溢れた第二話。第三話の荒れ果てた幽霊屋敷に住む愛らしい「くろすけ」の正体がわかった時には、せつなさに胸が一杯になることでしょう。第四話まで読み終えた後には、自分の周囲の人への気持ちが少し新しくなっているかもしれません。